二胡・揚琴とは
●二胡について
歴史
二胡の「胡」という字は、中国では「北方の異民族」または「西方の異民族」を指す言葉。
「二胡」はシルクロードを通って中国へ伝来した楽器であろうといわれている。
擦弦楽器 が中国で初めて登場するのは、唐代。宋代になり、ようやく立てて弾く「二胡」の原型が登場する。
元代(1127-1279)では初めて二弦で弓を用いて弾く楽器として「胡琴」の名が登場。明代末、清代(1644-1912)になると、「胡琴」は各地方劇と大衆芸能の発展につれてその伴奏に使われるようになり、中国全土に広まっていった。
20世紀、西洋音楽が流入し、作曲家;劉天華(1895-1932)によりヴァイオリンの奏法を取り入れた新しい演奏技術が生まれ伴奏楽器であった二胡は独奏楽器として地位を確立した。
その後 文化大革命(1966-1976)終結後は地方の音楽大学でも演奏家の育成に力がいれられるなど、より一層の演奏家の技術の向上がみられるようになり、それに伴い、大曲の完成、また民族音楽だけでなくクラシックやポピュラー音楽も演奏されるようになり、現在に至る。
主な作曲•演奏家
劉天華(1895-1932)
阿炳(華彦鈞)(1893-1950)
孫文明(1928-1962)
●二胡の仲間
広東音楽で使われる高胡や西洋の楽器にたとえればヴィオラの中胡(二胡よりも少し大きく、音は普通、内弦をa、外弦をeに合わる)がある他、板胡、二泉琴などがある。
●楊琴(ようきん)について
中国語ではヤンチンと呼ばれている。
原型は西アジアのサントゥールという楽器であり、西洋ではピアノへと変化。
複数本(144本)の弦を両手に持った竹バチで叩いて演奏。中国合奏には欠かせない楽器。
主に木製で、共鳴箱の役目を果たすボディーが蝶のような形をしていることから「蝶々琴」とも呼ばれている。
演奏するときは木製の台の上に置き、演奏者は両手に竹製のバチを持って弦を叩き、音を出す。
楊琴の演奏技法はとても多く、音色も多彩。低音域の音は重厚で、中音域は澄んだ透明な音がするほか、高音域はとても明るい音が特徴。
揚琴はテンポの速い楽曲や、活発で喜びあふれる感情の表現にはぴったりの楽器。